7つのコーナーに分かれた展示から、大工道具をめぐる世界の広がりと豊かさを感じていただけるようになっています。大工道具の歴史や種類、しくみを紹介する「歴史の旅へ」「道具と手仕事」「世界を巡る」、道具や手仕事の美を感じていただく「名工の輝き」「和の伝統美」。ものづくりの心を棟梁の仕事を通して伝える「棟梁に学ぶ」。木を十分にいかす知恵の数々を見ていただく「木を生かす」。そして、より多くの人に新しい道具との出会いの場を…という想いから、映像、音声ガイドシステム、木の香りを嗅ぐ、実際に触れることのできるハンズオン展示など「五感に響く」展示が充実してます。

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歴史の旅へ

木造建築の発達とともに歩んできた日本の大工道具。先史時代から近代までの道具の歴史を、建築史を背景に、実物・復元資料、迫力ある大型模型、うごく絵巻物、豊富な映像資料とともに、面白く、わかりやすく読み解きます。
石から鉄へ:石斧と鉄斧による伐り口の違い
打割製材の時代:丸太を鑿とクサビで打ち割る
製材技術の大革新:大鋸を用いた挽割製材
桃山天満宮の道具と五意達者

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棟梁に学ぶ

鍛え抜かれた統率力で様々な職人たちを束ね、建築を作り上げていく大工棟梁。その技と心は現代のものづくりや組織づくりにとっても学ぶところが多くあります。その魅力を実際の仕事を解説した迫力の模型や図面などを通して紹介します。
「棟梁の言葉」「祈りを捧げる」コーナー
図面を引く:西岡常一のノートと図面
木を刻む:加工途中の唐招提寺金堂部材
規矩術を修める:二軒隅組模型

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道具と手仕事

一口に鑿や鉋などといっても、さまざまな大きさや形のものがあります。大工は作業に応じてそれらを巧みに使い分けていました。ここでは世界にも稀にみるような多様性と独自性を誇る日本の大工道具の、種類やしくみ・使い方を紹介します。
墨掛道具コーナー
鉋コーナー
木組みの家:継手仕口がどこに使われているのかわかる
大工道具の標準編成

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世界を巡る

柔らかい木を使う日本と硬い木を使う海外では大工道具の形と使い方が異なります。ここでは中国とヨーロッパの大工道具を展示します。道具を使っている様子がわかる映像や建築模型とともに日本と海外の大工道具の違いをわかりやすく解説します。
押し使いと引き使い:解説ビデオと木の硬さハンズオン
中国の道具の使い方
中国:紫禁城太和殿斗きょう模型(縮尺1/5)
ヨーロッパ:ドイツ木組み模型(実物大)

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和の伝統美

日本にはまだ手仕事で究極の美を生み出す技術と感性を持った職人が残っています。茶室の実物大模型をはじめ、精緻極まる組子細工、雲母摺りかがやく唐紙襖、自然の素材でつくり上げた土壁などを通して、世界に誇る麗しき伝統美の世界をご堪能ください。
茶室スケルトン模型:内部
数寄屋の素材:丸太と竹
数寄屋大工の技:捻組模型
和の伝統美:左から組子細工の障子、唐紙の襖、錆壁仕上げの火灯窓

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名工の輝き

優れた大工道具が放つ「用の美」の輝き。歴史に名を刻む鍛冶たちは、伝統を受け継ぐ確かな技と磨き上げた感性によって、道具に詩情豊かな銘を切り、芸術的な意匠を凝らしました。用を極めて美に至った道具文化の深遠な世界へと誘います。
千代鶴是秀の工房(環境再現)
名品コーナー
千代鶴是秀|玄能「山彦」
千代鶴是秀|鉋刃「神雲夢」

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木を生かす

木はあたかも人のような個性をもちます。その性質を最大限に引き出すべく、匠たちは木のクセを読み、適材適所に使います。手道具に込められた貴重な森の恵みを十分にいかす知恵の数々。美しい木の表情を楽しみながら、木を読む匠の技に迫ります。
樹から材へ:伐木製材道具
触って確かめられる木取ハンズオン
鉋削りで仕上げた無垢のマカバ材ベンチ