墨掛道具[sumikake-dougu]
すみかけどうぐ
すみかけどうぐ
曲尺と書いてサシガネ、カネジャク、マガリガネなどと読みます。 L字型の直角定規に目盛りが刻まれた道具で、 L字の長い辺を長手(長枝)、短い辺を妻手(短枝)と呼び、長手を垂直にした時に妻手が右側にある状態を表、その反対側を裏と呼びます。表には通常の目盛り(表目)、裏目には、表目を√2倍した目盛り(角目)や円周率で割った目盛り(丸目)が刻まれています。
また、実用には使われませんが、一尺二寸を八等分した目盛りが「財、病、離、義、官、劫、害、吉」の文字とともに刻まれているものもあります(門尺・魯班尺)。
曲尺は、これらの目盛りと形状を利用して、物の長さや角度などを測り、部材に墨付けする時に使用する道具です。大工にとっては仕事をする上で欠く事のできない道具のため、敬意をもって扱ったといわれ、現場で踏もうものなら即座に怒鳴りつけられたそうです。
昔は鉄製や真鍮(しんちゅう)製でしたが、昭和初期ごろからステンレスがあらわれました。真鍮製には、直角部に三角形の鋼を添えて、直角の狂いを防いだものもあります(角鉄入)。
曲尺の巾は通常5分(15mm)、厚みは約6厘(2mm)で、長手方向に弾力性があります。目盛りは基本的には寸目で、メートル法の施行によって一時強制的にセンチ目になりましたが、法の適用緩和により、以前からの尺寸法の曲尺も再び使うことができるようになりました。
曲尺の各部名称
曲尺よりやや短く、厚みがあります。曲尺と同様の目盛りの付いたものもあり、おもに直角を調べるのに使用します。鉄製、真鎗製、ステンレス製などがあります。
上2点 曲尺 下2点 巻がね
やや厚みのある妻手の上端に、長手の一端を正しく直角を作るように欠き込んで接着し、木や竹釘などで止めてあります。おもに小物の直角を調べるのに使用します。木製と金属製とがあり、妻手と長手に違う材質を組み合わせたものもあります。
妻手と長手がネジで止められ、角度を調節できるようになっています。必要な角度の線を引いたり、所定の角度を一方に移す時などに使用します。木製と金属製とがあり、妻手と長手に違う材質を組み合わせたものもあります。二つ折りにした時に、妻手の中に長手が折り込めるようになっているものもあり、この場合、長手の先端は45度に切ってあります。
左より スコヤ2点、自由がね2点
おもに平面の正否を調べるのに使用します。特に鉋台の下端の正否を確かめるのに、なくてはならない定規です。この定規はその用途のため、小端が常に完全な水平を保つことが必要とされます。そのため、二枚の板を一組にして、両小端を互いにすり合せて光線に透かしてみることによって、簡単にしかも正確に定規の面をチェックできるようになっています。二枚はダボによって重ね合せ、取はずしができます。材質は、狂いの少ない桧の柾目を使用することが多いようです。
合せ定規の片側の形で、使用法も合せ定規と同様です。
合せ定規2点
留型定規は、45度に傾斜した菱形の板の一辺に、細い当て木を断面がT形になるように取付けたもので、45度の角度の線を引いたり、直接鋸をあてて部材をその角度に切断したりするのに使用します。箱型定規は二枚の長方形の板を直角に取付けたもので、使用法は、角度は違うが留型定規と同様です。直角と45度を組み合わせたものを箱留型定規と呼びます。これらの定規と同様で板の厚みがあるものを木口定規といい、鑿を沿わせて木口を仕上げる時などに使用します。また、同様に鉋をかける時に使用する定規として削り台があります。
左より 留型定規、箱型定規、箱留型定規
左より 木口定規(留型)、木口定規(箱型)
削り台
左より アテ定規、面取り定規2点
ホゾ穴定規
左より 組手留型定規、自在留型定規