みどころ

●瓦づくりの原点に立ち返り、現代の瓦大工・山本清一氏が復元した古代瓦のつくり方を製作道具や映像をまじえて、わかりやすくご紹介します。

●瓦の形や文様などの意匠面だけではなく、瓦を葺く技術にも焦点をあて、建築という切り口から瓦を読み解いていきます。

●難しくなりがちな技術的内容を大型模型や映像、触れる展示品などで親しみやすく解説します。

●普段屋根の上にあって、なかなか見ることのない迫力ある鴟尾（しび）、造形豊かな鬼瓦、多様な紋様の軒瓦を目の高さでご覧いただけます。

飛鳥時代に朝鮮半島の百済（くだら）より伝わった瓦技術は、日本の風土にあわせて、独自な変化・発展を遂げています。その千年の歩みを飛鳥時代から江戸時代の瓦を見ながら辿ります。

元興寺の瓦（6世紀、元興寺蔵）

飛鳥時代の軒瓦
（法隆寺若草伽藍金堂　復元）

奈良時代の軒瓦
（唐招提寺金堂　復元）

鎌倉時代の軒瓦

室町時代の軒瓦

江戸時代の軒桟瓦

瓦が伝わった飛鳥時代当初の瓦のつくり方は、奈良時代には姿を消しています。本展では長年職人の立場で「実際葺くことができる古代瓦」を研究してきた山本清一氏が復元した、古代瓦のつくり方を紹介します。原料となる土、瓦の成形、焼いて完成するまでの一連の工程を、実際の製作道具や瓦、映像で解説します。

原材料の土（腐木、田土、山土）

瓦の制作道具（一部）

瓦の加工道具

軒平瓦の木型（笵）

軒丸瓦の木型（笵）

軒平瓦製作道具

瓦屋根の役割は雨を漏らさず、長持ちさせることです。雨が多い日本では、瓦そのものはもちろん、葺き方にも様々な工夫がなされています。

その実物大の屋根模型、瓦職人が手で描いた瓦屋根の原寸図、葺く時に使う型板や手道具、実際葺いてみるハンズオンコーナーなどを設け、どのように瓦が葺かれているのかご紹介します。

屋根模型（実物大）

原寸図（一部、平城宮跡大極殿）

瓦の大きさを測る道具

棟を積むのに使う型板

瓦を葺く道具（一部）

瓦の選別道具

瓦の様々な造形を楽しんで頂けるよう、迫力ある鴟尾（しび）、鬼瓦、軒瓦を展示します。

鬼瓦コーナーでは古代の鬼瓦をつくるための型をはじめ、鬼師が使う製作道具もご紹介します。

唐招提寺金堂の鴟尾（復元、実物大）

興福寺中金堂の鴟尾（実寸の2分の1）

東大寺の鬼瓦（復元）

薬師寺の鬼瓦（復元）

鬼瓦の笵（薬師寺）

鬼瓦の製作道具

高浜市やきものの里かわら美術館　特別展示

名古屋会場では、瓦の一大産地として知られる「三州瓦」をテーマとした展示を行います。

三州瓦は、江戸時代中頃より愛知県西三河地方南部で生産されている瓦です。三州瓦の歴史と瓦づくりの現在、鬼師の技を、展示パネルおよび現代の瓦と鬼師の作品で紹介します。

浅井長之助（鬼長）作　亀文鬼瓦（昭和5年頃）

所蔵：高浜市やきものの里かわら美術館

瓦屋根に携わる職人の仕事を紹介した映像を、会場内の映像コーナーで上映します。

千年の甍　古代瓦をつくる

〔21分／2017年／企画：竹中大工道具館／制作：麦プロダクション〕
元興寺極楽堂と禅室の屋根には1400年前の瓦が今なお現役で建物を守り続けている。そうした長寿命の瓦を可能にした職人は一体どのような人であったのでしょうか。本編では、古代瓦づくりに挑戦し続けている現代の瓦大工・山本清一氏にスポットを当て、その仕事を紹介します。

唐招提寺金堂〜天平の技に挑んだ男たち

〔24分／2011年／企画・制作：BS‐i 、TBS‐V、TBS i〕
唐招提寺金堂の鴟尾は、西は天平時代、東は鎌倉時代につくられ、ともに傷みが激しく、平成大改修（1998～2009年）を期に平成の鴟尾をつくることとなりました。しかし天平時代の鴟尾づくりの技はすでに失われていました。その鴟尾づくりに挑戦した瓦の匠を紹介します。

大佛殿修覆 7年の記録

〔24分／1980年／企画・制作　朝日放送〕
1973〜1980年に行われた東大寺大仏殿の昭和大修理の記録。東大寺大仏殿の瓦はすべてが大きいため、建物への負担を減らすべく、瓦の軽量化が求められ、巨大な鬼瓦も新たにつくることになりました。瓦の葺き方も減量のための工夫が必要でした。その難題に挑んだ瓦職人、鬼師の仕事を紹介します。