講演会

日本の建築技術と意匠

-中国・韓国との比較から-

日時:1月25日(日)13:30〜15:00

場所:トヨタ産業技術記念館ホールA

講師:藤井恵介

1月25日、本展覧会の監修をしていただいた藤井恵介氏(東京大学大学院教授)をお招きし、講演会「日本の建築技術と意匠-中国・韓国との比較から」を開催しました。

最初の話題は最高級の建築について。最高級の建築といえば、中国・韓国では迷わず宮殿ですが、日本では12世紀を境に、宮殿にかわって宗教建築が最高級の地位を占めるようになったといいます。

建築の等級の指標となるのが軒下の組物。これは日中韓の建築に共通しています。中国では五手先が最高級とされますが、日本では2ランク下の三手先が最高級です。

しかし、日本の建築は中国や韓国とは異なった展開を遂げます。鎌倉時代頃から加工の精度が一気に上昇し、垂木の均等割や六枝掛(ろくしがけ)という手法が成立していくのです。

講演では、日本特有の事情として、工匠の職分などいくつかの仮説が示されました。たとえば、スライドのような繊細な天井をつくる仕事が、日本では職能として分かれていなかったために、建築自体の精度も高くなったのではないか、といいます。

似ているようで少しずつ違う日中韓の建築、その違いと背景についてわかりやすく説明された貴重な講演でした。

 

2月15日には本展覧会の最後のイベント、小川三夫棟梁による実演が行われます。今度は棟梁ならではの視点から日本建築の魅力が語られますので、乞うご期待ください。

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