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フォトレポート・東京会場 Photoreport: Tokyo Venue

 

新型コロナウイルス感染症拡大予防対策のため、開催が1年5ヶ月延期となっていた東京会場が10月13日(水)に開幕しました。2021年11月24日(水)までの開催となります。

緊急事態宣言の発出により、開催が危ぶまれましたが9月末に解除となり、一部制限があるもののなんとか開催にこぎつけることができました。

会場風景

画像提供:国立科学博物館

会場は、自然史及び科学技術史展示の聖地である上野の国立科学博物館です!都心にあって交通アクセスもよく、これからはお出かけに適した気候になってくるので、関東近郊の方、あるいはこれまでの巡回展を見逃した方、ぜひこの機会にご覧いただければと思います。

※国立科学博物館への入館にはオンラインによる事前予約が必要です。入館方法の詳細等については、国立科学博物館ホームページをご覧ください。

国立科学博物館上野本館(日本館)は、1931年にネオルネサンス様式を基調として建てられた由緒ある建物で、空から見ると当時の科学技術の象徴であった飛行機の形をしていることで有名です。2008年には国の重要文化財に指定されています。

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日本館の中央ホールにはステンドグラスが入った素晴らしいデザインのドームが設けられています。会場はその中央ホールに面した企画展示室です。

この中央ホールにて木組を触って理解できるハンズオン展示を用意していましたが、新型コロナウイルス感染症拡大予防対策のため、現在、ハンズオン展示は中止となっています。

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エントランス部分では、今回の巡回展にあわせて製作した映画2点(「木組みの家」「組子細工の技を継ぐ」)の短い紹介映像を放映しています。他会場ではシアタールームを設けましたが、本会場では都合により設置できませんでしたので、代わりに上映会を開催いたします(10/17および10/31)。

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今回は国立科学博物館と竹中大工道具館との共同企画ということで、これまでの巡回展の内容に加えて、国立科学博物館の秘蔵コレクションも出品されています。

なかでも出色なのが、建具職人が精緻な技で製作した法隆寺五重塔と薬師寺東塔の木組模型(縮尺1/25)です。かつては国立科学博物館の常設展に展示されていましたが、現在は収蔵庫に納められているため、滅多に見ることができません。お見逃し無く。

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エントランスをくぐると様々な継手・仕口を紹介する木組フレームコーナーがお出迎え。本展ではマルチランゲージ対応ということで、解説パネルは日本語と英語に対応。また会場に設置されたQRコードを読み込むことで、中国語と韓国語にも対応しています。

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民家の大黒柱などに使われる木組、四方差しの実物大模型。上が組んだ状態、下が分解された状態です。本展では特別に、主要展示品向けに製作者による動画解説を用意しました。本展示品を製作した千葉の大工・阿保昭則さん(耕木杜)が木組の秘密や道具の使い方について解説してくれています。解説パネルに付されているQRコードを読み込むことでYouTubeページに移ります(館内にはフリーWi-Fiあり)。

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鎌倉にある国宝の円覚寺舎利殿は室町時代の禅宗様式を代表する建築です。ここでは軒先を支える総数66点の部材で構成される組物を、分解した形で展示しています。また、これらが組まれる様子をCGでご覧いただけます。

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こちらは国立科学博物館から出品された組物と屋根の木組模型。組物模型は当麻寺東塔(国宝・奈良時代末期)を、屋根模型は明通寺三重塔(国宝・鎌倉時代)を手本に製作したものです。

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人間国宝・須田賢司氏による作品。美しい杢目(もくめ)に目を奪われます。角の部分が実は複雑な接手で組まれています。こちらも須田賢司氏の解説がYouTubeにてご覧になれます。

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金物や塗料を一切使わず木を組み、信州の山並を表現した組子屏風です。日本を代表する建具職人の精緻な技をぜひ会場でご覧ください。こちらも製作された栄建具工芸の松林節男さんによる解説動画がYouTubeにてご覧になれます。

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組子の細かさはぜひ実物でご確認下さい!

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続いてはヨーロッパの木組。こちらはドーマー窓の屋根などを支えるギタードと呼ばれる木組と架台を紹介しています。日本では見ることのできない複雑な木組が映像と合わせてご覧になれます。

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こちらの巨大な木組は山口県岩国にある木造の錦帯橋の木組の一部を2.5分の1サイズで製作したものです。製作は平成の架け替えをおこなった棟梁・海老﨑粂次さんによるものです。世界でも珍しい木によるアーチ構造の仕組みがわかります。また国立科学博物館から早稲田大学にて錦帯橋の構造実験に用いた模型が出品されています。

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最後は、不思議な木組コーナー。パズルのような木組を6種類揃えてみました。本来であればハンズオン展示とあわせて楽しんでいただきたかったのですが、新型コロナウイルス感染症拡大予防対策のため、見るだけの展示になっています。壁面には本展と関係のある古建築の所在地マップを掲載していますので、お出かけのご参考にしていただければと思います。

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複雑怪奇な形状の河合継手。タテにもヨコにも組むことができます。

完成してしまうと外見からは全く見えなくなる木組。その不思議で美しい世界を、ぜひ会場で、爽やかな木の香りとともにお楽しみください!