日時 11月8日(日)13:00~15:30

会場 ラッセホール大会場

講師 内田祥哉氏(東京大学名誉教授)・藤森照信氏(東京大学名誉教授)

11月8日(日)、内田祥哉氏・藤森照信氏をお招きして、本年の「技と心」講演会を開催いたしました。タイトルは「ものづくりの近代建築史」。当館で開催中の企画展「近代建築 ものづくりの挑戦」展を記念して、研究者としても建築家としても活躍される両氏に、近代建築を技術・職人の面から語っていただこうという企画です。

最初に講演されたのは藤森氏。煉瓦・スレート・鉄筋コンクリートの技術について、写真と即興のイラストを使って解説されました。ホワイトボードに描いているのは煉瓦を連続的に焼いていくホフマン窯です。

続いて内田氏の講演では、戦後の大工仕事について話していただきました。特に力説されたのは、鉄筋コンクリートの建物に不可欠な型枠をつくる木造の大工の重要性です。現場で型枠をつくるということは原寸の木造建築を建てているのと同じ、という話は意表を突く指摘です。

対談のスタートは、藤森氏が登呂遺跡の板の木取りの方法を解明する経緯について語り始める所から。

やがて対談は藤森氏が内田氏から話を聞き出すような展開に。戦後に木造から鉄筋コンクリート造へ転換する時代の実情や、ヨーロッパでは木は腐らないという話など、他ではなかなか聞けない話題が盛りだくさんで、建築技術という硬くなりがちなテーマにもかかわらず、会場がしばしば笑いに包まれます。

近代建築の技術ということで、鉄やコンクリートの話が中心になるものと思いきや、木造の技術の重要性を指摘されるというのは、企画側も予想していない展開でした。しかし、語られた内容はまちがいなく「ものづくりの近代建築史」の大事な一側面。実績・経験、そして話術、どれをとっても一流の両氏ならではの、充実した講演会となりました。

 

なお、来年の6月には東京でも両氏をお招きしての講演会を予定しております。今度はどのような話が飛び出すか、今回来られなかった方も是非ご参加ください。詳細は追って本ウェブサイトに掲載いたします。