日 時 11月28日(土)13:00〜16:00

見学先 ジェームス邸・旧後藤邸・旧グッゲンハイム邸

 11月28日(土)に「神戸塩屋の近代建築を巡る」と題した見学会を開催いたしました。塩屋は神戸市西部の海沿いにあり、洋館の多く残る町として知る人ぞ知るエリアです。当日は気持ちよく晴れて、絶好の見学会日和でした。

 案内役は竹中工務店の松隈章氏。1990年より塩屋の住人で、今回見学するジェームス邸の保存活用にも関わった方です(写真はジェームス邸の庭園の隅に建てられたガラス張りのチャペルです)。

 最初に訪れたのは1934年竣工のジェームス邸。2012年に神戸市指定文化財となり、現在はレストラン・結婚式場として活用されています。当日も別棟で結婚式を行っている最中に、お邪魔にならないように見学させていただきました。

地下にあるバーの床は、色とりどりのタイルを敷き詰めたみごとなデザインです。そして梁はチョウナはつり。

 続く旧グッゲンハイム邸までは、ジェームスが開発した住宅地のある「ジェームス山」にのぼって、そこから商店街に下る、長い道のりです。塩屋の町についての解説や寄り道もまじえて、30分弱のハードな行程でした。

 旧グッゲンハイム邸では、同邸を所有・管理する森本アリ氏が建物について解説。これまで1909年の建物といわれていましたが、最近グッゲンハイム氏の親族から頂いた資料によると、1911年ではないかとのこと。

 外での説明のあと、中でコーヒー・紅茶を飲みつつ休憩してから建物を見学し、1階のホールで松隈氏・森本氏のミニレクチャーを行いました。音楽イベントやパーティーなどの会場として、気取らずごく自然体で活用されている旧グッゲンハイム邸は、いわゆる「文化財」の修理と活用のお手本のようなジェームス邸とは好対照です。

 最後は旧後藤邸。旧グッゲンハイム邸のすぐ隣の高台にあって、赤のアクセントが印象的な三角屋根の建物は電車からもよく目につきます。それだけに二階からの眺めは最高でした。のみならず、奥に和館があって広い座敷があるのは、外から見ただけでは気づかないでしょう。神戸市の管理となっていますが、うまく活用の道が開けてほしいものです。

 

 塩屋の代表的な洋館を三つめぐった今回の見学会。これらの建物が大事に残されていることは、塩屋という町の大きな魅力となっています。展覧会で紹介しているのは建物をつくる技術でしたが、それを修理して使っていくことの大切さを教えられる見学会となりました。

 

 なお、近代建築展の関連イベントとして、名古屋会場・東京会場でも魅力的な見学会を準備しています。いずれもご参加いただける方の数は限られてしまいますが、ご希望の方はぜひお申込みください。