5月21日、見学会「近代建築の名作を巡る〜保存と活用の現在〜」を開催いたしました。東京の中心部に建つ昭和初期のオフィスビルの名作2件を見学する企画です。

最初の見学先は、2013〜15年に改修工事が行われた明治屋京橋ビル(昭和8年竣工)。まず清水建設本社ビルのホールにてスライドを使って概要を紹介していただき、現地に移動して外観を見学しました。

案内役は、工事を担当された横藤田弘氏(清水建設)。免震によるズレを建物と地面との接合部でどのように処理するか、事前のスライドで詳細に説明していただいたおかげで、参加者の目線は建物の足元に向けられています。説明がなければ気付かない、気付かせないための気配りがよくわかります。

続いては、徒歩15分ほど移動して、「資料にみる近代建築の歩み」展でも資料を展示している明治生命館(明治9年竣工)の見学です。こちらは2001〜05年に行われた保存・再生工事を担当された中島徹氏(竹中工務店)に、修理を通してわかった昭和初期の技術や、修理の苦労などをお話しいただきました。

外から外装の石やグリルを見たあと、館内を見学しました。上の写真は窓の金具について解説しているところ。同じ窓でも高さによって金具を変えるなど、使い勝手を考えた細かな気配りがなされている、とのことです。

 

今回見学した2件とも、歴史的建造物としての価値は一見するだけでも十分認識できますが、それがどのような技術によってつくられていたのか、漫然と見るだけでは気付きにくい細部まで丁寧に解説していただいたおかげで、その価値をより深く理解できる、非常に有意義な見学会となりました。この近辺にあった多くの名建築が取り壊されてきたことを思うと、これからも残されて活用されていくことのありがたみを改めて認識させられます。

 

次の「資料にみる近代建築の歩み」展関連イベントは、6月12日(日)の講演会です。こちらは申込不要・当日先着300名です。ご関心のある方は是非ともご参加ください。