5月14日から始まりました「資料にみる近代建築の歩み」展の様子を写真でお伝えします。本展は神戸・名古屋と「近代建築 ものづくりの挑戦」展として巡回してきましたが、東京会場では、あらたに図面資料や戦後の展開を加えてタイトルも一新しました。
会場は東京・湯島にある国立近現代建築資料館です。日本の近現代建築に関する資料の海外流出や散逸を防ぐため、文化庁によって設立されました。三菱財閥創業家の邸宅があった旧岩崎邸庭園に隣接していますので、近代住宅建築の名作・岩崎邸(J・コンドル設計、重要文化財)をご覧になった後に本展を観覧されるのがおすすめです。写真は岩崎邸方面からの入口です。こちらからは旧岩崎邸庭園の入場料がかかりますのでご注意下さい(湯島地方合同庁舎側からは無料です)。
展示室前のロビーでは、貴重な建設工事の記録映像が上映されています。明治生命館、大阪ガスビルに加え、「明治建築をつくった人びと-コンドル先生と四人の弟子-」という映像が追加されています。左奥に見えるのは、東京会場のみ展示の鹿鳴館階段です。鹿鳴館が解体された際に切り取られて東京大学に保管されていた貴重な資料です。
展示室の様子です。円形の展示ケースを中心に各種資料が並べられています。中央の展示台には大型模型を、周囲の壁面には解説パネルが設置されています。
第2章「歴史主義との格闘」では工部大学校(東京大学建築学科前身)の卒業設計の実物図面が展示されています(他会場では複製品でした)。写真ではわかりにくいですが、白い展示ケースの中に納められています。こちらは貴重品のため一定期間ごとに展示品入れ替えが行われます。
東京会場であらたに追加された第4章「新たな時代へ」のコーナーです。高さと大空間を求めて現れた新しい技術を紹介しています。東京タワー、霞が関ビル、国立代々木競技場など時代を飾った建築の図面や写真が展示されています。
万博・お祭り広場大屋根の立体トラス部分の図面です。立体トラスについては構造模型も展示されています。
ロフトスペースでは戦後の建築工事記録映像が上映されています。東京カテドラル、万博お祭り広場、霞が関ビルなどの貴重な映像がご覧になれますのでこの機会にぜひ。なおこちらの資料と連動した解説付き上映会も開催されます。イベントもページをあわせてご覧ください。
会場では「展示目録」を無料で配布しています。なお「展覧会図録」(定価:1,000円)については会場内では販売しておりません。当館にお問い合わせいただくか、神田の建築専門書店「南洋堂」にてお買い求め下さい。
展覧会は7月31日まで開催しています。巡回先も今回の東京が最後となります。ぜひお見逃しなく。