みどころ

見学会「尾張三河の大工棟梁とその作品」


日時:2010年12月11日(土)9:00ー17:00
場所:名古屋(六所神社、伊賀八幡宮、滝山東照宮、揚輝荘)
講師:麓和善(名古屋工業大学大学院教授)
12月11日、岡崎・名古屋の建築を巡る見学会「尾張三河の大工棟梁とその作品」を開催しました。講師は名古屋工業大学大学院教授の麓和善先生です。参加者は27名。
岡崎に残る重要文化財六所神社、同伊賀八幡宮、同滝山東照宮と、名古屋の揚輝荘を見学しました。岡崎の三つの建築は徳川秀忠・家光に重用された大工・木原義久および鈴木長次により江戸時代初期に建立された建築です。
まず、岡崎の六所神社(1636年)を参拝しました。この建物は、本殿と拝殿を幣殿(へいでん)で繋いだ複合社殿、いわゆる権現造です。普段は入ることのできない拝殿と、弊殿の内部を見学させていただきました。ここでは、建物の格の違いが床の高さ、組物の豪華さ、彫刻される動植物の紋様などによって表現されることなどを、実際に本殿・弊殿・拝殿を見比べながら解説していただきました。

次に訪れたのは重要文化財・伊賀八幡宮(1636年)。同じく権現造で、拝殿内部を参拝させていただきました。
こちらの拝殿は屋根の破風(はふ)の形に特徴がある、檜皮(ひわだ)葺きの社殿です。
前回の修理では建物外部の彩色を建立当初の姿に復元して塗りなおし、傷みの少ない内部の彩色は塗りなおさず大切に保存しています。復元と保存、それぞれに意義があることを感じました。

昼食を済ませたのち、滝山東照宮(1646年)を参拝。
登り坂と階段が、食後のいい運動になりました。
六所神社、伊賀八幡宮より10年後に建立されたこちらの社殿は、本殿と拝殿・弊殿が分離した形式です。
こうして3つの建築を見比べてみると、社殿構成の特徴と変遷がよくわかります。

最後に訪れたのは、名古屋の揚輝荘。松坂屋創業者・伊藤次郎左衛門祐民(すけたみ)氏の別邸で、大正時代から昭和初期にかけて造営され、名古屋出身の大工棟梁から近代建設業へと発展した竹中工務店が請負った建築です。
現在は名古屋市に寄贈され、歴史ある建築と庭園を生かして一般公開されています。
今回は特別に、聴松閣、伴華楼の内部を見学させていただきました。施主の遊び心と、当時の最高峰の技術が結実した、すばらしい近代建築でした。

ふだん内部に入ることの出来ない建物を、麓先生の分かりやすい解説付きで巡るという、とてもぜいたくな見学会。盛り沢山の内容で、時間が足りないぐらいでした。
たまには関西から飛び出して、他の地域で見学会を行うのもいいものですね。
お客様からも「関西以外で見学会を開催してほしい」という声が寄せられました。また巡回展などの機会に開催できればいいなと思います。

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