日時 2017年2月11日(土)10:00〜12:00、14:00〜16:00
会場 竹中大工道具館 木工室
講師 石本愛子・石本則男(漆芸家)


企画展「漆彩讃歌-石本愛子漆芸展-」開催を記念してワークショップが開催されました。
漆塗りの菓子皿に模様を彫り、金粉を埋めこむ「沈金」の体験です。
小学生からシニアの方まで幅広い年齢層のお客様にご参加いただきました。

講師は石本愛子さんとご主人の則男さん。
ご夫妻ともに漆工芸の第一線で活躍される伝統工芸士の先生です 。

沈金の最初の工程は「置目づくり」。漆工では図案のことを置目(おきめ)といいます。まず図案を選びトレース紙に描いていきます。初心者の方のために彫りやすい6種類の図案が準備されました。もちろん自分でデザインすることもできます。曲線を彫るのは大変難しいので、初心者は直線を基本に構成した絵柄が良いそうです。沈金刀で思い通りの線を彫るまでには最低でも6〜7年はかかります。

図柄を描いたトレース紙の裏から黄色い粉でなぞり、刷毛で押して図柄を皿に移していきます。

次に沈金刀を使った「彫り」の工程です。
いきなり上手くは彫れないので、30分ほど練習が必要です。最初は直線を一本彫るだけでも大変。沈金刀に角度をつけて手前へ引くようにして彫っていきます。沈金刀の角度、力の入れ具合を自分なりに探ります。

自信がついたら本番です。
複数の線を揃えて彫る、線の先を一点に集中させて彫るのは難しい!

彫り終えたら愛子先生に見ていただき、必要に応じて修正し、金粉を入れた時に映えるよう線を彫り足したり、難しい曲線を彫ります。

彫った溝へ漆を摺り込み、金粉を接着します。参加者の方が漆にかぶれないよう、則男先生が一人一人の皿に金粉を入れてくださいました。

金を入れると模様がうかび上がり、まるで命が吹きこまれたかのよう!思わず歓声が上がります。

最後に、色粉で彩りを入れて完成です。

漆を乾かして金粉を定着させるため、小箱に入れて濡れタオルをかぶせ、温かい部屋(お風呂でも可)で一昼夜以上置いておきます。漆は約20℃以上、約70%以上の湿度で固まる性質があります。

初めての作業に随分苦労された方もいましたが、石本先生の丁寧な
ご指導で全員無事に完成させることができました。

伝統の沈金の技で、世界に一つだけの菓子皿づくり。
石本先生、貴重な体験の機会をありがとうございました!

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