2022年10月1日に 開幕した「石井春―アズレージョと空間」展の様子をフォトレポート形式でお届けします。


会場は1Fホールを中心にテラスや中庭など各所に配置されています。最初に目に入るのは、ポルトガルのアズレージョと日本のタイルがミックスされた作品「航海上の食卓」。大航海時代、波で揺れる帆船の中での食卓をイメージした作品です。

その脇には長さ5.8mの大作「航海からの贈り物」。ポルトガルの展覧会に出品されたものを海外輸送してきました。色とりどりのアズレージョが組み合わされています。

湾曲した壁面にはポルトガルの伝統的なアズレージョが映像と合わせて紹介されています。アズレージョはいずれもリスボン近郊のフォルトゥーナ工房で焼かれたものです。

奥のスペースには石井春さんのアズレージョタイルの紹介とタイルでつくった茶室が展示されています。

茶室は最小の大きさとされる「一畳台目」になっています。茶室を取り囲むL字形は水路のイメージとのこと。

ブルーのタイルは雪の結晶のような模様が現れていてとてもキレイです。

最奥の壁面にはこちらも大作の「しずく」が壁一面に散りばめられています。作者いわく、豪雨が世間を騒がせる中、昔ながらのしっとりとした雨を表現したかったとのこと。

展示の最後にはビデオコーナー。石井春さんのアズレージョ制作にかける思いが記録されています(約8分)。作品を詳しく理解したい方にオススメです。

作品は1Fホールのみならず、館内の各所に展示されています。1Fテラスには京都の寺院の庭からインスピレーションを得た「水面の景色」が設置されています。

B1Fに降りる途中にある踊り場では可愛らしい魚のタイル作品「遊びたい魚」でお出迎えしてくれます。

B1F瓦敷の中庭にはキューブが整列した「海風の道」が展示されています。既存の建築との調和が見ものです。また雨の日にご覧になるとまた違った雰囲気が楽しめます。

最下層のB2Fにも作品があります。線状に敷かれた石畳の上に、一本のタイルの線を描いた「冒険の道」という作品です。

いずれもアズレージョを始めとする装飾タイルで建築空間を豊かに彩っていて、竹中大工道具館の建築ならではの展示になっています。ぜひとも間近でご覧ください。