概要

伝えたい、受け継がれてきた和の美意識と技

 和の要素を現代風に再構成した「和モダン」のデザインが近年注目を集めています。しかし基本となる和の建築デザインを学ぶ機会は意外と少なく、なかでも上質なデザイン要素が多く詰め込まれている数寄屋建築は敷居が高く、取っつきにくいというイメージが強いのではないでしょうか。
 本展覧会では数寄屋建築をつくりあげている様々な要素を解体して、職人達がどこにこだわり、上質を追求しているのかを、総合デザイナーである数寄屋大工棟梁の視点を通して解説します。
 会場には実寸大の茶室構造模型を設置し、工事中しか見ることのできない数寄屋大工の技の数々を解説します。あわせて銘木や竹、畳、土壁、建具、金具など数寄屋に関わる職人が製作した美しく繊細な製作物を紹介するほか、名人と呼ばれた棟梁本人が使用した道具や図面なども展示いたします。
 研ぎ澄まされた職人達の美意識と技を理解することができる絶好の機会です。どうぞお見逃しなく。

数寄屋大工とは?
日本が世界に誇る数寄屋のデザイン。それは千利休や古田織部に代表される茶人たち、あるいは離宮を造営した貴人たちによって発案され、長きにわたり醸成・洗練されてきたものです。これら繊細な感性を持った人々のアイデアを高度な技術をもってカタチにしてきたのが大工を初めとする数寄屋の職人衆でした。数寄屋のデザインが様式化され、茶人たちの意識が茶器や作法に傾倒するようになると、建築材料の扱いに長けた数寄屋大工たちが江戸時代後半から活躍するようになります。

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