日時 | 11月10日(土)10:00〜12:00、13:30〜15:30 |
場所 | 竹中大工道具館 特設会場 |
講師 | 本城武男氏(京からかみ摺り師) |
協力 | 株式会社丸二 |
気持ちのよい秋晴れの土曜日、ワークショップ「唐紙でハガキをつくろう」が開催されました。当日は約70名のお客様にご参加いただきました。講師は京からかみ摺り師の第一人者である本城武男さんと株式会社丸二の石田富士男さん、同社摺り師の工藤祐史さんです。
唐紙の手法・材料・道具を出来るだけリアルに再現した丸二さん特製の「karakami kit」を使ってハガキを制作しました。ミニチュアとはいえ、版木も実物と同じ朴(ほお)の木、絵具も実際に使用する雲母(きら)を使用するなど、唐紙の手法を十分にお楽しみいただけたようです。
さらに当日は本城さんが実際に仕事で使用している版木をお持ちくださり、実際の唐紙摺りも体験していただくことができました。当日使用した版木の文様は京都御所にも使われている「梅の丸」と「藤伏蝶(ふじふせちょう)」で約150年前に彫られたものだそうです。
まずは本城さんの実演です。刷毛(はけ)で直接版木に絵具をぬるのではなく、篩(ふるい)を使って絵具をのせていきます。絵具は、雲母や胡粉(ごふん)、顔料と、布海苔、姫糊、膠(にかわ)、樹脂などの接着剤を調合したものです。篩は唐紙独特の道具で、杉などの細長い薄板をまるめた枠にガーゼを張ったものです。
次に一枚一枚直接手のひらで円を描くように撫でて摺り上げます。バレンを使わず手で撫でることで唐紙独特の優美な味わいが生まれます。
一度摺った紙をめくって、篩の絵具を再度版木にのせ2度刷りをします。このように2度刷ることで、よりふっくらとした質感とあたかかみのある風合いに仕上げていきます。襖などの大判の紙を摺る場合も今回使用した版木と同じ大きさの物を使います。わずかでも狂うと、柄が切れたり重なったりして作品にはなりませんので、熟練した技術が必要となります。
ワークショップには大人だけでなく、子どもさん達も多数参加してくださいました。小学校1年生のお子さんも唐紙摺りに初挑戦しました。
上手に摺り上げることができました。唐紙をとても気にいったようで、この後もハガキづくりに熱心に取り組んでいました。
参加者の方からは「2度絵具をつけるということを初めて知った。ずれないようにするのが難しかった。」「継ぎ目が全く分からないように摺り上げる技術に驚いた。」という感想が寄せられました。普段目にすることの少ない唐紙制作に触れることができ、参加者の皆様もとても楽しんでおられたようです。ご協力下さいました本城さん、丸二の皆様、ありがとうございました。
なお、ワークショップ「唐紙でハガキをつくろう」は、名古屋会場(12月2日)でも開催を予定していますのでぜひご参加ください。詳細はイベントページをご覧下さい。