技と心講演会「職人と語る屋根のはなし」レポート

日時:2011年10月16日(日)14:00-16:30
場所:ラッセホール大会場(神戸市中央区)
参加者:230名(入場無料)
語り手:安藤邦廣(筑波大学教授・建築家)、塩澤実(茅葺屋)、
    中野誠(美山茅葺株式会社)、山田雅史(山城萱葺屋根工事)

今年の技と心講演会は、「葺く」展の開催を記念して、筑波大学教授の安藤邦廣先生と、3名のエネルギッシュな若手茅葺き職人さんをお迎えしました。

前半は、茅葺き職人さん達からの自己紹介とディスカッション、そして後半は、安藤先生から全国各地の茅葺きについて現状をお話いただき、それを受けてのディスカッションとなりました。

安藤先生(右)と山城萱葺屋根工事の山田雅史さん(左)。山田さんの報告では、代々茅場の管理を家業とされてきた立場から、茅葺きの現状とこれからについて語っていただきました。

美山茅葺株式会社の中野誠さん。中野さんは高校卒業後サラリーマンとして働きましたが、地元・美山町に残る茅葺き屋根の素晴らしさに気付き、茅葺き職人の親方に弟子入りしました。現在では、弟子の育成にも熱心に取り組まれています。ご自身でも茅葺きの家に住まい、その快適さを肌で感じていらっしゃいます。

茅葺屋の塩澤実さん。自分達の手で刈った茅を使って屋根を葺くという、一般向けの活動を積極的に展開されています。
瓦屋根の上に断熱材として茅を葺き、夏は涼しく冬は暖かく快適に住まう、という茅葺きの新たな利用方法についてのお話が印象的でした。

ディスカッションでは、茅葺きの仕事だけで食べていけるのか?という素朴な疑問から、今後の茅場の管理方法、技術の伝承について等、幅広い話題が繰り広げられました。

かつて日本の茅葺きは消滅してしまうだろう、とまで言われた時期もあったそうですが、そのような危機的状況から立ち上がり、伝統技術を受け継いで新たなリーダーとなったのが現在アラフォー世代の職人さん達です。
「上の世代と下の世代をつなぐのが、自分たちの役割」と、自負される茅葺き職人さん達に対し、来場されたお客様からは「職人さんの心強さに感動」「もっと多くの、特に若い世代の人に聞いてほしい」と大きな反響がありました。

会場の様子です。230名ものお客様にご来場いただきました。



安藤先生をはじめ語り手の皆様、熱いトークをありがとうございました。

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