鉋[kanna]
かんな
かんな
あらしゃくりかんな
鴨居・敷居など、幅のある長い溝の底を削るのに使用する。普通の底決り鉋より台の上端の幅が広く頑丈であるが、段欠きをするなどして握りやすくしてある。刃幅は5分、6分、7分が一般的である。
そこじゃくりがんな
鴨居・敷居などの溝の底を仕上げるのに使用する。刃幅は3分〜1寸ぐらいまであるが、5〜7分のものが多い。刃や台の形によって、西型・東型・櫛型・大阪型に分類される(図1)。決り鉋の刃は、一般的に鑿の刃のような形をしている。この刃を断面が長方形の台に仕込んだものを西型、下端の片側あるいは両側を段欠きした台に仕込んだものを東型、上端の側面が櫛の形のようになだらかにカーブした台に仕込んだものを櫛型と呼ぶ。大阪型は平鉋同様の通常の鉋刃で幅の狭い刃を、下端の両側を段欠きした台に仕込んだものをいう。大阪型の台は鉋くずが上から出るように台の上に穴があいているが、他の底決り鉋は台の横から鉋くずが出る構造となっている。(写真参照)東型や大阪型では、台の段欠きが定規となって、溝の深さが決まる。櫛型はおもに小細工用に使用される。決り鉋の刃には、鉋屑がらせん状にでやすいように、刃先を斜めにしたものもある(筋違刃)。
図1 底決り鉋
左より荒決り鉋、底決り鉋(櫛型)、底決り鉋(西型)、底決り鉋(大阪)
もといちじゃくりがんな
鴨居・敷居などの溝底の荒決り用。大阪型の底決りの側面に定規がついた形をしている。定規を調節することにより、溝を掘る位置が決まる。刃幅は5分、6分、7分が一般的である。
細い溝を削るのに使用する。必要な溝幅の道(溝となる部分を削る鉋刃の幅と同じだけ突き出した下端の部分)のついた台に、ネジで間隔を調節できる定規がついており、構造がやや機械的に見えるので、こう呼ばれる。定規を調節することで、溝の位置が決まる。刃幅は5厘〜5分ぐらいまでが一般的である。機械式のものができるまでは、小穴突と呼ばれていた。
だぼじゃくりがんな
機械決り鉋とほとんど同じ構造だが、道の部分がなく、台の上部から差し込まれたくさびの先端が刃口近くにダボのように出て、その代用をしている。鉋刃の後方には道がないため、突止(途中で終わる)になった小穴などを削ることができる(図2)。刃幅は1分〜3分が一般的である。
左より基市決り鉋、機械決り鉋、小穴突(裏)、ダボ決り鉋(裏)
台の下端を刃幅の分だけ段欠きしてある。この段欠きを定規にして相欠 きの部分を削る(図3)。機械決り鉋と同様にネジで調節する定規がついたものもある。定規を調節することで刃幅が決まり、相欠きの深さが決まる。
図3 相決り鉋
左より相決り鉋、相決り鉋(定規付)
蟻(あり)形の部分を削るのに使用する。台の下端を刃幅の分だけ斜めに段欠きした、凸型の部分を削るものと(雄木用)、底決り他の下端を斜めにした形の、凹型の部分を削るもの(雌木用)とがある(図4)。雄木用には、ネジ式の定規がついて、刃幅すなわち蟻柄の深さが調節できるものもある。雄木用、雌木用兼用の夫婦蟻決り鉋も考案されている。
図4 蟻決り飽
左より蟻決り鉋、蟻決り鉋(定規付)
くでじゃくりがんな
障子や襖の組子の組手をつくるのに使用する。たくさんの組子を正しく揃えて、これを端金で締めつけ、必要な部分を同時に横に削り取ることができる(図5)。刃幅は1分〜3分が一般的である。
図5 組手決り鉋
大阪型底決り鉋と良く似た構造だが、幅が広く、段欠きも深い。洋風建築などに使う上下窓の窓枠の、戸の滑る溝を削るのに使用する。
左より組手決り鉋、窓枠決り鉋(裏)