1.平鉋

板や角材などの表面を平滑に削るための鉋。一枚刃と、二枚刃とがある。鉋はもとは全て一枚刃であったが、明治時代後半に、逆目を防ぐための押え刃をいれた二枚鉋(合せ鉋)が考案されて一般的になった。現在では,一枚鉋は削艶をだす高級な仕上げの時などに使用される。

平鉋は、材を荒削りするための荒仕工鉋・さらに平滑な面にするための中仕工鉋・最後の仕上げをするための仕上鉋(上仕工鉋)に使い分けられる。荒仕工鉋にするには、鉋刃の出をやや多く、刃口も広くして厚い削屑がでるようにする。中仕工鉋、仕上鉋の順に、刃先の出を少なく、刃口も狭くする。台の下端もそれぞれに応じた調整をして使用する。

平鉋のうち、刃幅が3寸以上のものを大鉋、1寸8分以下で台も短いものを小鉋、8分以下で台も極めて小さいものを豆鉋と呼ぶ(平鉋以外の鉋も、それぞれの種類の中で小型のものを小鉋、極めて小さいものを豆鉋と呼ぶ)。また通常の刃幅で、台が40cm前後のものを長台鉋、35cm前後のものを中台鉋と呼ぶ。



▲ 左より大鉋、長台鉋、中台鉋

2.台直し鉋

鉋刃を台にほぼ直角(90度)に仕込んだ鉋。一枚刃で、台は普通の平鉋にくらべて短い。鉋は、台の下端を正確に調整することが必要不可避な道具である。台直し鉋は、鉋台の下端を削って修整する時に使用する。また、紫檀や黒檀などの硬木を削る時にも使用する。

3.飛行機鉋

障子などの組子を数本同時に削るための鉋。平鉋の下端の両側に取りはずし可能な定規が取りつけてあり、数本の組子をこの定規の厚みの寸法にそろえて削ることができる。定規を取りかえることで、いろいろな寸法を削ることができる。作業中に組子が浮きあがるのを防ぐため、刃口の近くにバネ仕掛けの押え木をとりつけ材面を下方に押しつける工夫がしてある。



▲ 左より平鉋、豆鉋、小鉋、台直し鉋、飛行機鉋(裏)

 
  • ※ 本ページの内容は『竹中大工道具館収蔵品目録第4号-鉋篇-』の解説を抜粋したものです。
  • ※ 品名は、主に関西で用いられている道具名称を参考にして当館で用いられている統一名称によっています。地域や研究者によって道具の名称はことなることがあります。

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