大工道具の紹介

[kiri]

きり

1道具解説:錐

錐は一見簡単に使える道具と思われがちですが、昔から「一錐、二鉋、三釿」といって道具使いの難しさを表現したことからもわかるように、正確な位置に必要な大きさの穴をあけるためには繊細な注意が必要とされます。

錐は刃先に回転運動を与えることによって材料に丸い穴をあける構造になっています。用途や使う材料によって刃先に各種の形状があります。また柄も直接手のひらで揉むものとそれ以外の仕組みを利用するものに大きく分けられます。

                
                

わが国では伝統的に釘穴をあける時などに手揉み錐を用いてきましたが、明治に入り洋風建築とあわせてボルトを用いた接合法が導入されると、ネジの形をしたボールト錐が使われるようになり、これによって太くて深い穴があけられるようになりました。

  • *本ページの内容は『竹中大工道具館収蔵品目録第5号-墨掛定規類・罫引・錐篇-』の解説を抜粋したものです。
  • *品名は、主に関西で用いられている道具名称を参考にして当館で用いられている統一名称によっています。地域や研究者によって道具の名称はことなることがあります。