1.印籠鉋
いんろうがんな

台を段欠きして一部分を定規とし、凹面を削る鉋(雌木用)と、同じく凸面を削る鉋(雄木用)と、二つが一組になっている(図10)。雨戸やガラス戸などからの風雨の浸入を防ぐために、建具類の隣合う枠の一方に凹面を、もう一方に凸面を作って、隙間無く閉まるようにするのに使用する。定規がネジで調節できるものもある。雄木用の刃には、二枚の刃を並べて仕込んだものもある。凹凸の面には角型のほか丸型もあり、丸は洋風建具に多く使用される。

▲ 図10 印籠鉋


▲ 左より、印籠鉋-角・雄木用(裏)、印籠鉋-角・雌木用(裏)

2.さね鉋

印籠鉋の雄木用とほぼ同じ構造をしている。印籠鉋の凸面は、断面が台形のようにやや傾斜しているが、さね鉋は直角の凸面を作る。床板を張り合わせる時、片側に凸面を作るのに使用する。二枚の刃を並べて仕込んだ台が中央で割れて、ネジで面の幅が詞節できるようになったものもある。これを自由さね鉋と呼ぶ。

▲ 左より、さね鉋、さね鉋(裏)、自由さね鉋

3.木口鉋

材の木口(胴付)を削るのに使用する。平鉋と同様の刃を、台の片側に刃先が出るように斜めに仕込んである。際鉋と似ているが、際鉋が角の刃先を重視しているのに対して、刃ロの傾斜が逆向きで元の方が先に切れるようになっている。これは、硬い木口をきるのに適している。際鉋を木口鉋と同じ用途に代用する場合もあり、木口鉋、際鉋をあわせて胴付鉋と呼ぶこともある。

▲ 左より、木口鉋-右勝手、木口鉋-左勝手(裏)

4.なぐり鉋

際鉋の角を丸くしたような形をしている。材にチョウナではつったような模様をつけて化粧をする時に使用する。右勝手、左勝手がある。

▲ 左より、なぐり鉋-右勝手、なぐり鉋-左勝手(裏)

5.南京鉋
なんきんがんな

家具等の彫刻や曲線部などの、反転の多い複雑な面を削るのに使用する。

6.埋樫用横溝鉋
うめがしようよこみぞがんな

敷居の溝底に硬い木を埋木する時に、溝底側面に埋木用の細い溝を削るのに使用する。

▲ 左より、南京鉋、南京鉋(裏)、埋樫用横溝鉋

 
  • ※ 本ページの内容は『竹中大工道具館収蔵品目録第4号-鉋篇-』の解説を抜粋したものです。
  • ※ 品名は、主に関西で用いられている道具名称を参考にして当館で用いられている統一名称によっています。地域や研究者によって道具の名称はことなることがあります。

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