鋸の歯は、使っているうちに歯先がすり減って切れ味が悪くなるため、時々歯先を研磨しなくてはなりません。この作業を目立てといいます。目立てをするには、まず鋸身のゆがみを直し、アサリを出してから、研磨を行ないます。鋸身のゆがみは、金床の上に鋸身をのせ、刃槌で叩いて直します。

アサリを出すには、二つの方法があります。一つは目振りを使用する方法で、目振り先端の割り込みに鋸歯をはさんで、左右に曲げてアサリを出します。もう一つはアサリ槌で行なう方法で、鋸歯の部分を金床の縁に置き、アサリ槌で一枚おきに叩きます。鋸を裏返して今度は先に叩いていない方の歯を叩くことによって左右にアサリを出すことができます。

目立てを行うときは、まず鋸挟み板に歯先だけがでるように鋸身を挟み、板の下方にくさびをはめて固定します。鋸の用途に応じて、挽込角度や切刃の傾斜を目立鑢(やすり)ですり込んで研磨します。目立鑢は用途によって各種ありますが、普通の目立てには主に挽切鑢を使用し、比較的大型の鋸歯にはすり込み鑢を使用します。



▲アサリを出す(左)、目立てをする



▲ 奥左から 金床、椿油、油継ぎ 手前左から アサリ槌、刃槌、目振り、挽切鑢と鑢鋏み、すり込み鑢、鋸鋏み板)

 
  • ※ 本ページの内容は『竹中大工道具館収蔵品目録第6号-槌・斧・釿・その他の道具篇-』の解説を抜粋したものです。
  • ※ 品名は、主に関西で用いられている道具名称を参考にして当館で用いられている統一名称によっています。地域や研究者によって道具の名称はことなることがあります。

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