1.釘抜

釘抜には、エンマとカジヤ、バールの三種類があります。 エンマは、ヤットコ状のもので、釘の頭が表面に出ている時、その頭の下を挟んで引き抜く道具です。断面が四角形の和釘は、平らに叩き伸ばしたものを折り曲げただけの頭をしており、引っ掛けて抜くことはできません。そのため、エンマを使用します。釘を挟む丸く湾曲した部分が、テコの支点となります。釘が長い場合や、深く入っている際には、その湾曲した側面に当て木をしてテコの原理で引き抜きます。

握りの片方は平らに伸ばされていることが多く、解体作業などで材をこねてはがしたりする時に使用されます。地獄の閻魔(えんま)大王が、罪人の舌を抜く時に使用するとされることから、この名があります。

カジヤは、両端が釘を挟み込むように二つに割ってあります。その割れ目に釘の頭を引っ掛け、エンマ同様テコの原理を利用して抜きます。バールは、長い柄の先が、平らに伸ばしてあります。この平らな部分は、釘留めされた部材間に差し込んで、部材をはがすなどの解体作業にも使用されます。釘が完全に部材の中に打ち込まれている時には、二つに割れた先を釘頭の下に打ち入れて使用します。釘が長く抜きにくい時などは、L宇部分の下に当て木をしたり、玄能を当て木代わりに用いて使用することもあります。


▲ 左からエンマ、カジヤ、バール

2.釘締

釘の頑を部材に沈めたり、金槌が入りにくい場所の釘打ちなどに使用します。細くなった先を釘の頭に当て、金槌で打ち込みます。先端の断面には、角と丸の二種類があります。角型のものは、丸型より長めで長押の釘打ちに使用します。 丸型のものは、通常の釘締作業に使用します。また、尻の先がL字に曲り、カジヤ型の釘抜になっている二徳釘締もある。二徳両口釘締は、釘抜ではなく短い釘締になっていて、隅の床張り等の狭い場所で使用することができます。


▲釘締の使用法


▲ 左から釘締、釘締-長押用、二徳釘締、二徳両口釘締

 
  • ※ 本ページの内容は『竹中大工道具館収蔵品目録第6号-槌・斧・釿・その他の道具篇-』の解説を抜粋したものです。
  • ※ 品名は、主に関西で用いられている道具名称を参考にして当館で用いられている統一名称によっています。地域や研究者によって道具の名称はことなることがあります。

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